日本学術会議第25期推薦会員任命拒否に関する声明

2020年11月22日

 

日本学術会議第25期推薦会員任命拒否に関する声明

一般社団法人 日本民俗学会 第33期会長 川島 秀一
日本民俗学会第33期理事有志

 日本学術会議が推薦した第25期会員候補者105名のうち6名を菅義偉内閣総理大臣が任命しなかったという問題は、いまだ具体的な理由の説明が行われていません。また、これまでの政府の主張は、多くの矛盾が明らかになっているにも関わらず、未だ6名の任命を行わずに、日本学術会議法に定められた定員を充たさない状態が放置されております。

 このような政府の処置は法的に保障された学術会議の独立性を脅かし、学問の自由を危うくするものです。

 

 今回、菅総理が除外した6名の候補者は、いずれも政府の法案や政策に対して批判的な見解を示したことのある研究者でありますが、そもそも日本学術会議の役割の一つは、戦時中に学問の自由がはく奪され、軍事利用されてきたことへの反省から生まれた「政府への勧告・提案」であり、「独立」した機関であることも、日本学術会議法によって保証されております。

 日本学術会議会員は、国家公務員法によって、この法自体の適用を受けない国家公務員「特別職」と規定されております。時の政権や、国の一政党の施策のために奉仕するものでなく、国民全体の利益のために働くものです。生活者としての人々(民衆)の立場を基軸として、学問と研究を続けてきた研究者の集まりである「日本民俗学会」として、この政府の学問の自由への介入とも受け取り得る行為を見逃すことはできません。

 

 日本民俗学会理事会は、日本学術会議が発出した2020(令和2)年10月2日付「第25期新規会員任命に関する要望書」および、2020(令和2)年11月6日に発表された「日本学術会議第25期推薦会員任命拒否に関する人文・社会科学系学協会共同声明」への賛同を表明し、以下の2点を強く求めます。

  1. 日本学術会議が推薦した会員候補者が任命されない理由が明確に説明されること。
  2. 日本学術会議が推薦した会員候補者のうち、任命されていない方をすみやかに任命すること。