学会・法人化特別委員会からのお知らせ・資料

このページでは日本民俗学会の法人化に関するお知らせ・資料を掲載しております。

一般社団法人日本民俗学会への移行について(2014年11月1日掲載)

 一般社団法人日本民俗学会は、2014年10月27日に正式に登記され、成立しました。2014年10月11日の総会での決定通り、11月1日をもって日本民俗学会は一般社団法人日本民俗学会に移行いたしました。

定款承認について(2014年10月19日掲載)

 2014年10月11日の総会にて、一般社団法人日本民俗学会定款が承認されました。それを基に、一般社団法人日本民俗学会の登記を10月末日までに行い、2014年11月1日をもって日本民俗学会のすべての会員およびすべての財産を一般社団法人日本民俗学会に移行します。なお、日本民俗学会の現役員は、2014年11月1日をもってすべて一般社団法人日本民俗学会の役員に就任します。なお、一般社団法人日本民俗学会定款は、こちらに掲載しています。

法人化の進捗状況報告と協力依頼(2014年7月30日掲載)

日本民俗学会会員各位

法人化の進捗状況報告と協力依頼

 昨年度の総会におきまして、学術団体が任意団体から一般社団法人へ移行する意義について説明がなされ、1年間かけてその準備を行うことが承認されました。総会議事録では、以下のように記録されております。

日本学術会議が学協会の法人化を推進していることや社会的な趨勢として、学会は任意団体から公益法人へ移行する法人化の時代を迎えていること、学会の活動は、学会の専門家だけでなく、広く市民や社会に寄与することが求められており、それは「民による公益の増進」を目指した公益法人の趣旨に合致していることから、学会の法人化に関する社会的状況が説明された。
日本民俗学は、その成立時から「野の学問」を目指してきた。その学問の精神を進展させ、現代社会に適合していくためには、新しく制定された公益法人制度に基づいて法人化することによって、市民や社会に資する学術活動を行う学術団体として社会的に認知されることが必要であることが強調して述べられた。

 その後、法人化特別委員会において、専門の司法書士と公認会計士と相談しながら「一般社団法人日本民俗学会定款」の原案策定を行い、第11回理事会および第12回理事会において審議され、承認されました。その定款(案)を同封させていただきます

 この定款が、2014年10月11日に盛岡で行われる評議員会と総会で審議されます。その際に現行会則と定款の違いが詳しく説明されますが、一般社団法人の上位規程である「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に則りつつ、基本は現行制度をなるべくそのまま踏襲する内容で作成されております。総会前に定款に目を通され、ご意見を事務局宛 にお願いいたします。回答をできる限り準備して参ります。

 法人化は、法的にも財政的にも有益な点は数々ございます。他方、日本民俗学会が法人化されて社会的に評価されることは、参加学会の信頼性が高まり、活動や財政などが公開化されるなど会員各位にとりましても有益性が高まることになります。その点をご理解のうえ、定款承認に向けてご協力のほどお願いいたします。

 

2014年7月14日
日本民俗学会会長
岩本通弥
法人化特別委員会委員長
古家信平

一般社団法人への移行について(第29期理事会)(2014年2月28日=会誌277号フォーラム掲載)

 第65回年会の総会におきまして、日本民俗学会を従来の任意団体から一般社団法人に移行することを提案し、承認されました。この件につきまして、会員の皆様に情報をお伝えし、ご理解いただきたいと思います。

 まず、法人化に向けての日本民俗学会における検討の経緯について整理します。

(1) 2006年10月の理事会で、宮本袈裟雄会長より『有限責任中間法人設立手続き』に関する文面が示され、学会の法人化についての提案がなされました。
(2) 学会事務所取得に関連して中間法人化が検討されましたが、2007年第59回年会総会において、現状のままにすることが決められました。
(3) 2008年から施行される新非営利法人制度について、日本学術会議がその対応に関するシンポジウムを開催し、本学会からも理事がそれに参加し、2008年の27期第6回理事会では、法人化を検討する事が報告されました。
(4) 日本学術会議は、2008年5月に「提言新公益法人制度における学術団体のあり方」を発表して、学協会(学術団体のこと)が、多様化する社会ニーズに応えるためにも、民間の非営利部門として社会的な公益に資するべく法人化を進める必要がある事を提示しています。
(5) さらに、2013年3月に日本学術会議は、「新公益法人法への対応及び学協会の機能強化のための学術団体調査結果について」を公表し、学協会へのアンケート結果を公表しました。
(6) 日本学術会議の学協会に対する法人化への支援や他の学協会の法人化への動きを勘案し、2013年5月の理事会では法人化特別委員会を立ち上げることを決議しました。(法人化特別委員会などについては、会誌274号フォーラム「『法人化特別委員会』の設置について」会誌275号会告「法人化について」を参照してください)。古家信平委員長以下8名の委員で検討を重ね、さらに理事会でも議論して、評議員会及び総会で一般社団法人へ移行する提案を提出しました。

 法人化特別委員会名で総会に提出された「日本民俗学会の一般社団法人への移行について」の文書を以下に提示します。

 現在、学会は任意団体から公益法人へ移行する法人化の時代を迎えています。学会は、学術研究の進歩や発展を図ることを目的とした民間の非営利団体です。その活動は、学会の専門家だけでなく、広く市民や社会に寄与することが求められています。つまり、学会は公益に資する活動を行っており、それは「民による公益の増進」を目指した公益法人の趣旨に合致しています。
 日本民俗学は、その成立時から「野の学問」を目指し、「経世済民」あるいは「学問救世」の精神のもとに市民や社会に対する公益的な学問であることを自認してきました。現代では、学問の公共領域への進出が実践され、学会が市民社会と連携してより公益的な活動を目指すようになっています。日本民俗学会は、本来「民による公益の増進」を目指した学問でありました。日本民俗学会は、その学問の精神を進展させ、現代社会に適合していくためには、新しく制定された公益法人制度に基づいて法人化することによって、市民や社会に資する学術活動を行う学術団体として社会的に認知されることが必要だと考えます。
 第29期理事会では、前々期から議論されてきた法人化について、それを専門的に検討し、推進するために5月12日開催第4回理事会において法人化特別委員会を設立しました。法人化特別委員会では、法務・財務専門家や他学会の意見を参考に法人化を検討してまいりました。
 今後、日本民俗学会も学術集会や研究会だけでなく、市民に向けた一般公開講演や講習会をはじめ、国際交流やその他学会活動を通して、その知的成果を学会誌やインターネットなどで公開するなど、市民や社会に対する公益事業を積極的に展開していくことになると思います。それは、上述しましたように、まさに「民による公益の増進」を目指す活動であり、日本民俗学会はそれを目的とした公益法人に移行することを提案します。
 さらに、新公益法人の中で、非営利性が高く、申請が容易である一般社団法人への移行を提案するとともに、定款作成や法人登記など法人化の諸手続およびそれ以降の学会から法人化移行の諸手続きについては、理事会に一任することを提案します。

 この提案説明の際に、一般社団法人へ移行する際のメリットなども言及されました。具体的には、法人化する事で学会名によって公的な契約ができる、公益的事業や有益的事業を行う事ができる、学会への寄付金が非課税となる、受託事業を行う事ができるなど多々あります。ただし、定款や財務経理面で法的な厳格さが要求されたり、法人税の支払いなどの負担もあります。

 総じて、法人化することによって、社会的に認められた学術団体として公益性に富んだ活動を展開できますし、民俗学に関する普及活動などの事業が公益事業として認められ、日本学術会議においても日本民俗学会は公的な学術団体として認知されることになります。

 総会では、法人化に向けてのさらなる情報開示を求める意見が出されましたが、この提案は承認されました。

 今回の提案は、来年の総会で移行手続きができるように準備を進める事を承認いただくことでした。具体的には、まず来年の総会までに、「一般社団法人日本民俗学会」を設立させておく必要があります。この作業は、定款を定め、登記をする必要があります。この準備作業は、法人化特別委員会を中心に、理事会で審議、承認しながら進めることになり、準備作業に係る一連の手続きは理事会に一任されました。この準備を整えて、来年の総会で現行の「日本民俗学会」の会員および財産を「一般社団法人日本民俗学会」へ移行することを決議していただくことになります。

 以上の件をご理解いただき、よろしくお願いいたします。

第65回年会(2013年10月12日・新潟市)総会・評議員会資料

総会資料「日本民俗学会の一般社団法人への移行について(提案)」(PDF)
総会プレゼンテーション資料(PDF)
評議員会資料「日本民俗学会の一般社団法人への移行について(提案資料)」(PDF)

【会告】法人化について(2013年8月31日=会誌275号掲載)

 日本民俗学会では、第26期理事会の頃から法人化問題が話題にのぼり、その後2008年に施行された「新非公益法人制度」への対応も検討されました。しかし、未だ法人に移行しておりません。

 本年4月には、学術コミュニティを代表する日本学術会議から、新公益法人制度への学術団体調査結果が公表されました。2012年9月の時点で、1091団体のうち、法人化済みあるいは法人申請中の学術団体は3割ほどしかなく、日本学術会議の学協会の機能強化方策検討等分科会委員長からは、新公益法人制度に対応して法人化するよう、強く勧められています。

 現在、本学会は「任意団体」の位置付けになっています。外部からの制約を受けないで自由に活動できる点や財務経理面でも厳格さが要求されないという長所はあります。しかし、「任意団体」は法律に基づく権利や能力を持たない団体であり、社会的に認知されていない団体という事になります。広く一般社会、市民、行政との連携を深めるためには、法律に基づく法人格をもった団体となることが求められています。

 そこで、第29期理事会では、本学会の法人化を推進するために「法人化特別委員会」の設置を決定いたしました。この件につきましては、会誌274号のフォーラム欄に岩本通弥会長名で経緯が記されていますので、そちらをご参照ください。

 さらに、10月12日に新潟大学で開催される第65回年会の評議員会及び総会で、法人化の件が審議される予定になっております。

 法人への移行につきましては、学会ホームページ等で会員各位へ情報提供を行うとともに、1年以上かけて十分な議論を尽くし、万全の準備を進めていきたいと思います。ご協力のほどよろしくお願いいたします。

 

法人化特別委員会
委員長 古家信平

「法人化特別委員会の設置」について(2013年5月31日=会誌274号フォーラム掲載)

会長 岩本通弥

 日本民俗学会における法人化問題は、第26期宮本袈裟雄会長のころから議論されてきた。当時は、事務局の不動産獲得のために法人格が必要であるという本学会固有の問題が主に議論された。その結果は、26期17回理事会の議事録に、「専用事務所等不動産を所有するには資金不足も否めず、事務所は現状のままにとどめ、特別会計は国際シンポジウムの開催や既刊会誌の電子ファイル化等、民俗学の振興事業に充てることも含め、有効活用する方向で検討し、第59回年会時の総会に諮ることになった」と記録され、不動産所有のための法人化は見送ることとなった。

 その後、日本学術会議からの通知であった平成20年の「新非営利法人制度」への対応に対して議論され、27期6回理事会の議事録に、「平成20年12月1日から施行される「新非営利法人制度」への対応は、日本民俗学会にとって、急いで対応する段階ではないので、今後、検討すべきである」と結論されている。

 ところが、本年4月に示された日本学術会議科学者委員会・学協会の機能強化方策検討等分科会委員長石原宏氏の文書では、「任意団体」であっても新公益法人法適応の移行期間である本年11月30日までに何らかの法人格を取得することが勧められている。その理由として、任意団体であっても会費収入などの事業費が課税対象となる危険性があると述べられている。しかし、収入が課税対象になるかどうかは、法人化の本質というわけではなく、むしろ、会員による会費を基に社会的な活動を行なう学術団体は、社会的責務を有し、そのためには法人となってその活動や収支を会員だけではなく、社会的に公開していくことが求められている。法人化することによって、社会的立場が明確になり、法人格を有することによるメリットも考えられる。

 昨今は、社会的な必要性から法人化に移行する学術団体が多く、本会も社会的評価を得るためにも早急に法人化に向けた法人化特別委員会を結成する必要があると考える。2013年5月12日開催の第4回理事会において法人化特別委員会設置が承認された。今後、法人化特別委員会を中心にして、法人化の意義、法人化に向けたスケジュール、法人化に必要な定款の検討、法人会計への対応、学会員への情報提供など必要な事項を進めていきたい。

 尚、委員は以下のとおりである。

板橋春夫(前庶務担当理事)・岩本通弥(会長)・内田忠賢(編集担当理事)・小熊誠(庶務担当理事)・菊池健策(前会計担当理事)・篠原徹(第27期会長)・常光徹(第28期会長)・古家信平(元庶務担当理事)

 (なお、この法人化の問題に関しては、今後ともフォーラム欄や学会ホームページ等で、随時、報告して参ります。また最後に、これまで本学会で検討してきた法人化問題の経緯を、資料として、本誌の記録から転載しておきます)。

▼資料(法人化の検討に関する議事経緯)

(1)「宮本会長より『有限責任中間法人設立手続き』に関する文面が示され、学会の法人化についての提案がなされ、次回以降検討することになった」2006年10月26期14回理事会、『日本民俗学』(以下本誌)、249号146頁)

(2)「学会の法人化について 宮本会長より前回の理事会で審議事項として出された法人化について、学会が法人化する場合の定款などについて説明がなされ、来年度総会までに理事会としての方向性を決定するため、法人化が必要となる事務局施設購入についての論議をはじめ、学会にとっての法人化の意義と問題点について検討を継続することを決めた」(同年11月15回理事会、本誌256号152頁)

(3)「学会事務所のあり方 特別会計とのからみから中間法人化についても検討を重ねてきたが、(中略)特別会計は国際シンポジウムの開催や既刊会誌の電子ファイル化等、民俗学の振興事業に充てることも含め、有効活用する方向で検討し、第59回年会時の総会に諮ることになった」(17回理事会、本誌251号144〜145頁)

(4)「特別会計について、今後も学会事務所の購入についての検討は続けるが、学会活動をさらに活発に行うための事業費としても活用したい旨の提案がなされ、承認された」(2007年第59回年会総会、本誌253号156頁)

(5)「新法人化について (中略)日本学術会議(中略)主催の「新法人化への対応シンポジウム―学協会の公益性の確立に向けて」に山田理事が出席。(中略)「新非営利法人制度」への対応は、日本民俗学会にとって、急いで対応する段階ではないので、今後、検討すべきであるという報告があった」(翌年27期6回理事会、本誌256号122頁)