第5回人類学関連学会協議会合同シンポジウム(2010年8月27日掲載)
加齢 ―老いの生態をめぐって―
- 開催日時:2010年10月1日(金) 13:00〜17:00(開場12:10)
- 開催会場:東北歴史博物館 講堂(宮城県多賀城市)
- 開催趣旨:
- 人間=ヒトの年齢には、静態的な側面と動態的な側面とがある。静態的な側面は、たとえば何歳といえば成長段階を示すとともにその年齢に伴った一定のイメージを喚起することになる。それに対して、動態的な側面はAging/Ageing(英)といわれるように、年をとる現象で「加齢」の問題である。この加齢は、成長過程を示すとともに時間の観念をも含んでいる。高齢化社会を迎えて、加齢がクローズアップされてきたのは、人間=ヒトにおける成長・発育よりも老化に関わる「老い」の動態的な側面であったといえる。
- 「加齢」は誕生と共に始まり最終的には死で完結する。老いは、加齢に伴って起こる生体の変化であるために、加齢は老いとほぼ同義語で用いられマイナスイメージで認識される場合が多い。しかし、日本の伝統社会における老いの事例を見てゆくと、老いを「追い」すなわち追加するという民俗が認められるのである。姥捨て伝説は老人の知恵が重要なモチーフであり、近畿地方の神社祭祀としての宮座では長老が祭祀の重要な役割を担う例もみられる。また沖縄の97歳の長寿者を祝うカジマヤー祝いでは、高齢者を抱える社会や家族が人々のネットワークを再確認する機会ともなっている。このように老人の生命力や社会的位置付けから見ると、加齢=老いは決してマイナスイメージ一色ではないことが分かる。
- 本シンポジウムでは、人類学関連学会協議会に参加する各学会から推薦されたパネリストが、それぞれの学問領域から「加齢」についてアプローチし、新たな地平を見出すべく学際的領域からの問い直しを試みる。
- プログラム:
- 13:00〜13:10 開会のあいさつ(篠原徹=日本民俗学会会長)
- 13:10〜13:25 趣旨説明(谷口貢=日本民俗学会理事)
- 13:25〜13:50 「健康の面からみた(超)高齢社会」鈴木隆雄(日本人類学会:国立長寿医療研究センター研究所)
- 13:50〜14:15 「長寿民俗にみる老人観」板橋春夫(日本民俗学会:國學院大學)
- 14:15〜14:40 「サルに“老い”はあるのか」高畑由紀夫(日本霊長類学会:関西学院大学)
- 14:40〜14:50 休憩
- 14:50〜15:15 「発汗機能の老化:全身的協関の視点から」井上芳光(日本生理人類学会:大阪国際大学)
- 15:15〜15:40 「文化概念としての老い:似て非なるもの」佐野(藤田)眞理子(日本文化人類学会:広島大学大学院)
- 15:40〜15:55 休憩
- 15:55〜16:55 討論
- 16:55〜17:00 閉会のあいさつ(東北歴史博物館館長)
- 司会:朝岡康二=日本民俗学会理事
- 共催:日本民俗学会・東北歴史博物館/協賛:東北民俗の会
- 問い合わせ先:
- 東北歴史博物館 情報サービス班
- TEL: 022-368-0106
- URL: http://www.thm.pref.miyagi.jp/
- 日本民俗学会事務局
- TEL: 03-5815-2265
- URL: http://www.fsjnet.jp/
- プログラムダウンロード - PDFファイル(730KB)