各種研究集会のお知らせ(2013年第3四半期・開催日順)

このページは、会員の皆さんから寄せられた、研究会、学会または研究・教育機関等が開催する研究集会のご案内です。デザイン上若干変更させていただく場合もございますが、原則として寄せられた情報をそのまま掲載しています。内容についてのお問い合わせは、それぞれの問い合わせ先に直接お願いいたします。またこのページに情報を掲載したいかたは、こちらをご覧下さい

観光学術学会 第2回大会

日程:2013年7月6日(土)・7日(日)
場所:奈良県立大学
(奈良市船橋町10)
プログラム:
 7月6日(土)
13:30-13:45 開会挨拶(奈良県立大学学長・伊藤忠通)
13:45-14:30 特別講演(奈良県立大学学部長・西田正憲)
  「自然風景論からみたアートツーリズム――越後妻有大地の芸術祭と瀬戸内国際芸術祭」
15:00-17:00 シンポジウム「観光とメディア」
  コーディネーター:遠藤英樹(奈良県立大学)
  堀野正人(奈良県立大学)「記号としての観光対象」
  高岡文章(福岡女学院大学)「観光とメディアと『ルート』」
  寺岡伸悟(奈良女子大学)「観光的現象と『メディア』観――『ご当地もの』から考える」
  須藤廣(北九州市立大学)「メディアとしての観光とその変容」
17:30-19:00 懇親会
※11:30-17:00 学生ポスターセッション
 7月7日(日)
10:00-11:00 フォーラム「観光研究と文化論的転回、その後」
  遠藤英樹(奈良県立大学)「人文・社会科学における『観光論的転回』」
  神田孝治(和歌山大学)「文化/空間論の変容と観光研究」
  鈴木涼太郎(相模女子大学)「文化論的転回後の観光人類学と実践」
  山口誠(関西大学)「場所とロケーション」
11:10-12:00 総会
13:00-14:30 一般研究発表
15:00-16:30 一般研究発表
備考:事前申し込みは6月21日(金) 21時までです。観光学術学会ホームページよりお申込みください。多くの皆様のご参加を心よりお待ちしております。

柳田國男記念伊那民俗学研究所 民俗学入門講座(第6回=最終回)

日時:2013年7月16日(火) 18:30〜20:00
会場:飯田市美術博物館 柳田國男館
長野県飯田市追手町2-655-7/飯田バスセンターより徒歩5分・JR「飯田」駅より徒歩20分)
開催の趣旨:
 ご飯茶碗は自分専用のものがあるのに、洋食器は家族みんなが同じものを使うのはどうして? 身の回りにはふと考えてみると不思議なことがあります。民俗学は何げなく続けてきた慣習や言い習わしの疑問に答えるために、地域の生活を調査研究する学問です。
 柳田國男記念伊那民俗学研究所は地域に住む私たち自身が伊那地方の生活文化の調査と研究を行うことで、自らの生活の疑問を明らかにするために設立され、現在まで活動してきました。
 民俗学入門講座では私たちの身の回りにある生活の疑問に解説を加えながら、地域で生活を送る私たち自身が郷土の生活文化を知ることの意義や、調査・研究の具体的な方法について、わかりやすくお話しします。
講師と内容:「民俗学の方法」(福田アジオ/柳田國男記念伊那民俗学研究所長)
聴講料:1回500円(事前申込不要・当日会場へ直接お越し下さい)
各回の内容(全6回・毎月第3火曜 18:30〜20:00)
第1回=2月19日(火)「民俗の発見」※終了しました
第2回=3月19日(火)「旅の恥はかきすて」※終了しました
第3回=4月16日(火)「晴々とした、晴れがましいとは」※終了しました
第4回=5月21日(火)「他人の茶碗は汚い?」※終了しました
第5回=6月18日(火)「東のバカ・西のアホ」※終了しました
第6回=7月16日(火)「民俗学の方法」
主催:柳田國男記念伊那民俗学研究所
問い合わせ先:
飯田市美術博物館
TEL: 0265-22-8118
E-mail: ic91445★city.iida.nagano.jp(★は@に変えて下さい)

京都民俗学会 第261回談話会

日時:2013年7月26日(金) 18:30〜21:00
会場:ウィングス京都 セミナーB
アクセスマップはこちら
発表者とタイトル:
星洋和(学校法人東北学院資料室嘱託職員)「三陸沿岸部における生業の在り方―渡波・流留塩田周辺農村を事例に」
主催:京都民俗学会
問い合わせ先:
E-mail: mail★kyoto-minzoku.jp(★は@に変えて下さい)
備考:
会員は入場無料。一般の方は申し訳ありませんが300円頂戴いたします。

現代民俗学会第18回研究会「現代文化をどう捉えるか−金益見氏の調査方法から学ぶ−」

日時:2013年7月27日(土) 13:30〜
場所:東京大学東洋文化研究所3F大会議室
発表者とタイトル:
発表者:金益見(神戸学院大学人文学部専任講師)
コメンテーター:加賀谷真梨(国立民族学博物館機関研究員)・門田岳久(立教大学観光学部助教)
コーディネーター:室井康成(東京大学東洋文化研究所特任研究員)・菅豊(東京大学東洋文化研究所教授)
内容紹介:
 民俗学の基礎的な営為の一つに民俗誌の作成がある。これは、対象とする地域の民俗文化の調査・分析・成文化といった過程を経て成立するものであるが、今日、こうした営為は民俗学の専売特許ではなくなった。いわゆるアカデミック民俗学の訓練を受けていない個人や市民団体・郷土研究サークルが、従前の民俗学が世に問うてきたものと比しても遜色ないか、あるいはそれ以上の高い水準の民俗誌を編み上げることも、もはや珍しいことではなくなった。そうなると、アカデミック民俗学の独自性とは、いったい何なのか、自問せざるを得ないであろう。
 一方、現代文化、すなわち世相の移ろいを同時代的に捉え、民俗誌としてまとめてゆくことも、かつての民俗学が担った重要な役割であった。例えば宮本常一は、民俗学の主たる調査対象地域が農山漁村であった時代に、戦後の新憲法の理念や高度経済成長が人々に与える影響を、その生活様式の変化に焦点を当てることでダイナミックに記述していった。その成果は、等身大の同時代史として社会に受け入れられ、民俗学のみならず、その外部に対する影響力も少なからぬものがあった。しかし残念ながら、現在の民俗学は、宮本ほどインパクトのある成果を社会に対して提示できているとは言えない。
 そうした中、2008年に、当時大学院生であった金益見氏が著した『ラブホテル進化論』(文春新書)が刊行された。同書は、従前の人文・社会科学研究で対象化されてこなかった課題を選択したという目新しさで大きな話題を集めたが、何よりもその成果は、広義の「貸間」であるラブホテルの名称や意匠の変遷史から男女間の力関係や性愛をめぐる羞恥感情の変化を読み解いたことや、その設立数の増減の背後に高度経済成長期に起った家族構成の変化や住居の間取りの一般化を看取するなど、多くの発見を獲得し、さらにこれを日本文化論の領域にまで高めたことであった。同書により、それまで未見であった事実が明らかになったケースも多く、加えて私たちの身辺にある細かな事柄に着目し、課題化するといった姿勢は民俗学にも通じるところがあり、示唆に富む成果であると言える。
 そこで今回の研究会では、同書の著者である金益見氏を発表者に迎え、同書にまとめられた研究で金氏がとった調査手法という問題に焦点を絞り、金氏自身の調査体験談を踏まえながら語ってもらうことにした。そして一連のラブホテル研究を通じて金氏が獲得した視点や調査手法が、金氏が現在取り組んでいる夜間中学を対象とした識字問題に関する研究やインタビュー論へと、どのように結び付いているのかという点について発表をお願いし、現代文化を捉える上で有効な視点や調査手法とは何か、そこから浮かび上がってくる問題とは何かを、金氏との対話の中から考えてゆきたい。
主催/共催:現代民俗学会/東京大学東洋文化研究所班研究「東アジアにおける『民俗学』の方法的課題」
問い合わせ先:
室井康成(東京大学東洋文化研究所特任研究員)
E-mail:muroi★ioc.u-tokyo.ac.jp(★は@に変えて下さい)
その他の情報:
事前予約は不要です。どなたでもご参加頂けます。

第26回農村文化ゼミナール「“おきたま”は日本のアルカディア」

日時:2013年8月3日(土) 13:00〜17:00
会場:飯豊町町民総合センター「あ〜す」
(JR米坂線「羽前椿」駅より徒歩10分)
開催趣旨:
 飯豊山は米の山です。置賜盆地は米沢です。瑞穂の国といわれ日本人は、米によって育まれてきました。しかし、TPP加入問題はじめ、農業・農村・農民をめぐる現状は厳しさを増す一方です。
自然・人・カミの三位一体が調和した望ましい“代表的日本地域”づくりを掲げた農村文化セミナーの第三回目を、置賜盆地の名山、飯豊山のふもと“美しい村”運動を展開する飯豊町で開催します。地方から、命を育む現代的“農”の意味を力強く発信しましょう。
プログラム:
基調講演
佐野賢治(農村文化研究所長・神奈川大学日本常民文化研究所長)「飯豊山は宝の山−宝は田からー」
話題提供
保科友希恵(庄内町商工会)「山から見た置賜の風土」
パネル・ディスカッション
司会:岩鼻通明(山形大學農学部教授)
後藤幸平(飯豊町長)「飯豊町と“美しい村”運動」
原淳一郎(米沢女子短期大学准教授)「飯豊山参詣帳・道中記を読む」
小澤弘道(喜多方市役所職員)「会津から見た飯豊山とその信仰」
菅原健治(置賜民俗学会員)「山村社会の変化と栂峰信仰」
コメンテイター:星寛治(高畠町有機農業研究会)・梅津幸保(置賜民俗学会長)
主催:公益財団法人農村文化研究所/後援:飯豊町・置賜民俗学会
問い合わせ先:
(公財)農村文化研究所
TEL: 0238-37-5175(遠藤)・5362(山田)
神奈川大学佐野研究室
TEL: 045-481-5661
E-mail: sanok010★kanagawa-u.ac.jp(★は@に変えて下さい)
その他の情報:
講師および発表テーマは、変更の場合があります。
参加は自由です、会後、有機野菜・飯豊米を食しながらの交流会を企画しています。

第3回九州山岳霊場遺跡研究会「首羅山をとりまく聖なる山々―糟屋・鞍手の山岳霊場遺跡―」

日程:2013年8月17日(土)・18日(日)
会場:レスポアール久山(福岡県久山町)
(092-976-2444/久山バス停下車すぐ/無料駐車場有)
プログラム:
8月17日(土)
12:00 受付開始
12:30〜17:30 現地研修会(バス研修=レスポアール久山入口付近発着)
見学場所:久山の寺社(清谷寺・猪野観音堂・天照皇大神宮・龍興寺・久原出土銭出土地)・宮若の寺社(清水寺・平山薬師堂・東禅寺)
18:00〜20:00 情報交換会(会場=レイクサイドホテル久山)
8月18日(日) 研究集会(会場=レスポアール久山)
09:00〜09:30 開場・受付
09:30〜09:40 開会(オープニングセレモニー・久山欅太鼓)
09:40〜09:50 会長あいさつ・地元あいさつ
首羅山遺跡国史跡指定記念報告
09:50〜10:50 「首羅山遺跡―国史跡指定へのあゆみ―」(江上智恵)
研究報告「首羅山をとりまく聖なる山々―糟屋・鞍手の山岳霊場遺跡―」
10:50〜11:25 研究報告1「首羅山とその周辺の渡来彫刻」(井形進)
11:25〜12:00 研究報告2「宝満修験 葛城峯」(森弘子)
12:00〜13:00 昼食休憩
13:00〜13:35 研究報告3「糟屋・鞍手の山の仏像」(國生知子)
13:35〜14:10 研究報告4「山岳霊場と山林利用の考古学的研究」(小嶋篤)
14:10〜14:30 休憩
14:30〜16:15 シンポジウム「首羅山をとりまく山岳霊場遺跡を考える」
16:15〜16:30 講評・閉会
主催:九州山岳霊場遺跡研究会・久山町教育委員会
共催:九州歴史資料館
後援:清水寺・清谷寺・天照皇大神宮・東禅寺・龍興寺・日本山岳修験学会・宇美町教育委員会・須恵町教育委員会・宮若市教育委員会
問い合わせ先:
九州歴史資料館学芸調査室(学芸研究班(研究会事務局))
TEL: 0942-75-9501(室直通)
参加申し込み方法:
バス研修:参加費3,000円/定員50名
研究集会:参加費2,000円(資料代として)/定員400名
郵便番号・住所・氏名(ふりがな)・所属・連絡先Eメールアドレス・電話番号・現地研修会の出欠(集合場所(JR篠栗駅かレスポアール久山の別)も記載)・情報交換会の出欠(学生の方はその旨記載)を下記方法にてお知らせ下さい。
メール申込みの場合は、qms2011★yahoo.co.jpまでご送信下さい(★は@に変えて下さい)。FAX申込みの場合は、「第3回九州山岳霊場遺跡研究会に参加希望」と記入し、0942-75-7834(事務局:九州歴史資料館学芸調査室)にご送信下さい。
申込み締切:2013年8月9日(金) ※定員になり次第締め切ります。
備考:研究会資料集には当日報告資料に加え、紙上報告「特集:糟屋・鞍手の山岳霊場遺跡」を掲載する予定です。
参考URL: http://www.sangakushugen.jp/event1.html

荒川ふるさと文化館企画展「東京‘氷’物語」記念講演会

日時:2013年9月7日(土) 13:30〜15:30
場所:荒川ふるさと文化館 地下1F
(JR常磐線・東京メトロ日比谷線・つくばエクスプレス「南千住」駅下車、徒歩8分)
講師とタイトル:
大西正幸(道具学会理事・生活家電研究家)
「氷で冷やすから、氷を作る冷蔵庫へ−“三種の神器”と生活変化−」
主催:荒川区教育委員会
問い合わせ先:
荒川区立荒川ふるさと文化館
荒川区南千住6-63-1/TEL: 03-3807-9234
URL: http://www.city.arakawa.tokyo.jp/event/bunkasports/25kikaku1.html
その他の情報:定員70名・参加費無料

史料と伝承の会

日時:2013年9月14日(土) 14:40〜18:00
場所:明治大学(千代田区神田)リバティタワー6階1064教室
(JR「御茶ノ水」駅・地下鉄各線「御茶ノ水」「神保町」駅下車)
発表者とタイトル:
加藤秀雄 研究ノート「織田家『家系日記』のフィールド─芸予諸島・鵜島─」
【報告内容】 本発表では、芸予諸島に位置する鵜島の織田家に伝わる『家系日記』(安政二年成立)の内容を紹介し、その内容が当該地域の歴史叙述に、どのような影響を及ぼしているのかという点について報告をおこなう。『家系日記』は、現在の鵜島の地域史における歴史叙述の「一次史料」になっているが、その史料的な性質や現在的な意味について確認していきたい。
森本一彦 問題提起「地域資料アカイブ化の諸問題−京都大学と高野文化圏の事例から」
【問題提起】 本報告では、地域資料の保存・活用について2つの事例を紹介する。京都大学社会学研究室には、400冊を超える手書きの村落調査報告書(1947年〜1971年、調査地:北海道〜鹿児島)が保管されており、グローバルCOE「親密圏と公共圏の再編成をめざすアジア拠点」(2008年度〜2012年度、拠点リーダー:落合恵美子)において、文字のテキスト入力、写真や図表のPDF化をおこない、閲覧のためのインターフェースの構築をおこない、公開体制の検討を重ねている。一方、高野山を中心とする文化圏を想定して、域内における資料を総合的に保存・活用するべく模索をしている。特に当該地域における自治体史収集の歴史資料の実態と今後の構想を紹介する。両事例は異なるものであるが、資料保存・活用について考える糸口となるとともに、明治大学所蔵の萩原龍夫資料の保存・活用についての議論が深まることを期待するものである。
お問い合わせ:
事務局=小山貴子(E-mail: kymtkk1021★yahoo.co.jp)
    水谷類(E-mail: tagui★f6.dion.ne.jp)(★は@に変えて下さい)
その他の情報:参加自由です。ふるってご参加ください。

現代民俗学会第19回研究会

「商店街は滅びるのか?―ポスト・「三丁目の夕日」時代のアクチュアリティ―」

日時:2013年9月28日(土) 13:00〜
場所:東京大学本郷キャンパス 東洋文化研究所 3F大会議室
(アクセスはこちら
プログラム:
発表1:新雅史(学習院大学非常勤講師)「商店街とはいかなる空間なのか」
 商店街はどのような空間なのか――それは、素朴であるように見えて、答えるのがやっかいな問いである。一定程度に商店が集積することを指すならば、スラムもそれに当てはまるし、ひとつの建物にテナントが集積しているショッピングモールも商店街となるだろう。結論先取でいうならば、商店街はスタティックな定義がむずかしい規範的構築物である。以上の観点から、商店街がどのような文脈から言説化され、それが国土に埋め込まれ、かつそれが主体化していったかを議論する。
発表2:竹川大介(北九州市立大学教授)「メディア=媒体としての市場―世界と私の間にあるものを考える―」
 北九州市の生鮮市場に「大學堂」という店舗を持って5年が過ぎた。学生たちと週5日店を開けている。2階にはギャラリーである「屋根裏博物館」や、宿泊ができる「大王の間」も作った。そこが市場だから商売もする。投げ銭音楽ライブもする。旅人が立ち寄る。このごろは縁台将棋がはやりはじめた。つまり世界と私をつなげるメディアである。発表では、ここで実際になにが起きつつあるのかをつまびらかに報告するので、この現象をなんと呼べばよいのか教えてほしい。
コメンテーター:塚原伸治(日本学術振興会特別研究員/東京大学東洋文化研究所)
コーディネーター:塚原伸治・菅豊(東京大学東洋文化研究所教授)
開催趣旨:
 商店街に魅力を感じる人は今なお多い。映画版「三丁目の夕日」が大ヒットしたことは記憶に新しいが、それが昭和30年代ブームあるいは昭和レトロブームと呼ばれるような現象と同様の、ノスタルジックな欲求に支えられたものであったことは間違いない。商店街の活力が失われ、「シャッター商店街」が目立つようになっているという現状との対比もあり、失われつつある(あるいは失われた)かつての価値が商店街という場に過剰に与えられてきた。
 このような「三丁目の夕日」幻想、あるいはそれを支えるノスタルジーに対して、私たちが自覚的であることは常に重要である。しかし、実際の現場に今いちど目を向けてみれば、商店街の現実がすでにその先に進んでいることも、また理解されるであろう。当事者によってすでにじゅうぶん自覚化され、資源化されている「商店街」を取り巻く言説を偏ったものとする、民俗学のフォークロリズム批判の視点のみでは、現場をアクチュアルに描き尽くすことはできない。ましてや、「下りたシャッター」を再び「上げる」ことなどできるはずもない。
 いまや商店街という場には、商店街で商いを営む人びと以外にも、行政や専門家、コンサルタントなど、様々な立場とスキルをもつアクターがすでに深く入り込んでいる。そのような場で、既存の関わり方とは異なる方法を意識するふたりの研究者―社会学者と人類学者―が、知識生産と社会実践に関わっている。彼らは、大文字の学知による「商店街の活性化」とは異なる道筋の可能性を模索している。
 おそらく、彼らがその先に採用する方法は、商店街の衰退という「問題」を所与のものとし、その「問題解決」の処方箋を簡単に発行するようなものではなく、フィールドの人々に寄り添い、人びととの関わりのなかで課題を発見し、その課題へと向き合う複雑な応答と、多声的な解を人びとの動きのなかに探し求める民俗学的方法と重なり合うのであろう。本研究会では、このような「三丁目の夕日」幻想批判を越えた現実について、商店街で活動するふたりの研究者の実践をもとに、商店街のおかれた現実と、進み行く将来とを展望する。そして、さらに、その具体的な検討から、民俗学的手法の彫琢にむけた議論へと展開したい。
主催/共催:
現代民俗学会
「新しい野の学問」研究会(科研「現代市民社会における『公共民俗学』の応用に関する研究―『新しい野の学問』の構築―」(代表者:菅豊・東京大学東洋文化研究所教授))
東京大学東洋文化研究所班研究「東アジアにおける『民俗学』の方法的課題」
問い合わせ先:
E-mail: mail★gendaiminzoku.com(★は@に変えて下さい)
URL: http://gendaiminzoku.com/index.html
その他の情報:申込・参加費不要